バリー・コーガンの演技が見たくて、配信で鑑賞しました。
結論から言うと、犯罪に加わるものの、比較的普通の大学生という役どころで、ちょっと無駄遣いだったかも…という印象です。
目次
2004年に4人の大学生が時価1200万ドル(約12億円相当)のビンテージ本強奪を狙った窃盗事件を映画化。ケンタッキー州で退屈な大学生活を送るウォーレンとスペンサーは、くだらない日常に風穴を開け、特別な人間になりたいと焦がれていた。ある日、2人は大学図書館に保管されている時価1200万ドルを超える画集を盗み出す計画を思いつく。2人の友人で、FBIを目指す秀才エリック、すでに実業家として成功を収めていたチャズに声をかけ、4人は「レザボア・ドッグス」などの犯罪映画を参考に作戦を練る。作戦決行日、特殊メイクで老人の姿に変装した4人は図書館へと足を踏み入れ…。
2018年製作/116分/G/アメリカ
『映画.com』より引用
原題:American Animals
配給:ファントム・フィルム
劇場公開日:2019年5月17日
見始めて驚いたのですが”実際の犯人”が4人とも顔出しで回想する場面が挟まれていました。
強盗での逮捕から7年の実刑を経て、この時点で30代半ばくらいでしょうか。
よく出たなぁ!と思いますし、家族や親戚が反対しなかったのか不思議です。縁を切られたのでしょうか!?
私なら絶対に許しません。調子に乗るなと言ってぶっ飛ばします。
計画が成功していれば自首など当然しないでしょうし、12億の本を売って逃げたはず。表に出てくるのが恥ずかしいと思うのが普通なのではないでしょうか。
しかも、言い分がそれぞれ(自分に都合よく)微妙に異なっていることや、たいして悪びれていないのも気になります。
首謀者と思われるウォーレン本人が、少し涙ぐみながら話していましたが、どこか薄っぺらい印象。
内心、この事件で何者かになれたと1ミリぐらいは思っていそうなところが怖いです。
今、目指していることを最後に語る4人。作家、芸術家、映画監督…比較的堅実な子がひとりだけいてスポーツインストラクターです。
あつかましいのか、会社勤めが無理で自由業を目指すしかないのか。
この人たちを見ていると、刑期を終えてこの呑気さ、どうしようもないな…という虚無感に襲われました。
この映画、恥の上塗りになるので、本人たちを出さない方が良かったのではないでしょうか。
実話を元にした映画で済ませていたほうが、キレイに収まったように思います。
彼らは「生きている実感が持てない。何か大きなことを成し遂げたら人生が激変するのでは…」そんな身勝手な理由で強盗を計画します。
想定外のことが起こり続けて幸い失敗となりますが、同じ失敗でもレザボア・ドッグスみたいに格好良くないのはなぜだろうかと考えました。
いい大人がバカなことを一生懸命やって、全滅するという潔さと映画的なカタルシスがレザボアにはありました。
しかしこちらは、若気の至り的な空気で収めているモヤモヤ感と、実在の人物を出したことでバカっぽくなってしまったのが敗因なのかなと感じました。
親のしつけや教育、道徳心を教えることなど、資産のあるなしや学歴に関係なく大切なことだとつくづく思いました。
私の目当てであったバリー・コーガンは、犯罪と正義との間で揺れ動く青年の心情を、そつなく演じていて魅力的でした。
ウォーレン役のエヴァン・ピーターズも可愛くて良かったし、主演が彼らでなければ面白くならなかったでしょう。
本物のスペンサー方がカッコイイとか言われているようですが、バリー・コーガンって独特のクセがあって素敵だと私は思っています。
いまやバーバリーやオメガのアンバサダーですからね。
やっはり狂気含みの演技が素晴らしいので、ソルトバーンを見直そうかな…。
まぁいろいろと考えさせられる作品でした。