台湾の理髪店、女主人の日々の生活はいかに…ってどれくらい訴求力があるのでしょうか。
私はめっちゃ興味あります!
これは次女の元夫ですね
目次
台中にある昔ながらの理髪店。店主アールイは40年にわたってこの店に立ち続け、常連客を相手にハサミの音を響かせている。彼女がひとりで育て上げた3人の子どもたちは既に独立しており、頼りになるのは近所で自動車修理店を営む次女の元夫チュアンだけ。ある日、離れた町から通い続けてくれる常連客の“先生”が病に倒れたことを知ったアールイは、店に「本日公休」の札を掲げ、古びた愛車に乗り込んで先生のもとへ向かう。2023年製作/106分/G/台湾
原題または英題:本日公休 Day Off
配給:ザジフィルムズ、オリオフィルムズ
劇場公開日:2024年9月20日
中年女性の生活の一部を切り取った映画というのは、地味なのですが、深く共感できるので大好きです。
子どものことはいつまでも心配、体の不調で老いを感じる、長年お付き合いのある方との別れ、など。
世界中どこでも、同じようなことを考えているものなのだなと感じます。
(あ…でも『エブエブ』は嫌いです。ミシェル・ヨーはいいけれど、あのようなおばさんはノーサンキュー)
今作、主人公のアールイが、病の床にある常連客に会いに行くというのが主軸で、はっきり言って特に目新しい物語でもありません。
しかし、周辺の人々を丁寧に描くことで、彼女のこれまでの生き方や考え方が浮き彫りになり、小さな感動が波のように訪れます。
現代的な考え方に染まった子どもたちとは気持ちが少しすれ違い、お人好しの次女の元夫と心が通い、付き合いが続いているのも、少し皮肉が効いているし、人柄の良い彼女らしいところです。
その子どもたちも、彼女の背中を見て、少しずつ自分らしい実直な道を進み始める終盤が、とても良かったです。
出張先の常連客との別れがあり、次女の元夫も新しい伴侶を見つけて離れていきます。一方で馴染みの常連客や友人との交流を楽しむ日常も続き、変わらぬ日常を愛おしむアールイの喜びが伝わってきます。
私が若い頃なら、それが退屈な人生に見えたのかもしれませんが、今の年齢で見ると、とても幸せそうに思えました。
誠実で実直に生きていけるということは、その人の大きな資質であると感じました。
人から喜ばれる仕事をするように、子どもに伝えていくのは大切なことですね。
アールイの魅力的な人物像に和み、台湾の風景に癒やされ、外国でありながらどこか懐かしい印象もあって癒やされました。
驚いたのは、エンドロールの途中に、作中で出てきた日本語の勇者?キャラクターCMを再び挟んできたこと。
あれは…さすがにちょっと場違いだったのでは!? ユーモアとして大切だったのでしょうか…。
いい映画だったなぁと余韻を味わおうとしていたところだったので、おや? と思いました。
フー・ティエンユー監督は、台北の国立政治大学で日本文学を学んだそうなので、なにか関係があるのかもしれません。
そしてこの理髪店はご実家を使っているとのこと。子ども用の椅子(木の板)なども、昔から使われている道具なのでしょう。
ご自身の体験も反映されているのかもしれません。
このように娘から描いてもらえるお母さま、幸せだろうなと思いました。
想像していたよりもずっといい映画で、観に行ってよかったです。今年のフェイバリット10本に入るかも。