タイトルからは軽い感じを受けるのですが、実は重いお話です。
そして最後どうなったのかは…これ、どうなの!? 誰かに聞いてみたいです。
こういう時、日頃ひとりで映画を見る人間はつらいですな。
皆さん美形でステキ…
目次
友人の結婚式に出席するため冬の延吉にやって来た青年ハオフォンは、上海へ戻る翌朝のフライトまでの暇つぶしに観光ツアーに参加した際に、スマートフォンを紛失してしまう。観光ガイドの女性ナナはお詫びとしてハオフォンを夜の延吉に連れ出し、男友達シャオも合流して飲み会で盛り上がる。翌朝、寝過ごしたハオフォンはフライトを逃し、シャオの提案により3人でバイクに乗って国境クルージングに出かける。
2023年製作/100分/PG12/中国・シンガポール合作
原題または英題:燃冬 The Breaking Ice
配給:アルバトロス・フィルム
劇場公開日:2024年10月18日(『映画.com』より引用)
生きる意味を見いだせないまま日々を過ごす3人の若者。
何かを忘れるように、酒を飲み、踊り、関係を持ち…刹那的な享楽にふけりますが、楽しいのはその時だけで、始めからずっと死というものが彼ら(特にハオフォン)にはりついているようです。
国境は生と死の境目を意味しているのでしょうか。そこを不安定な足取りで歩む3人。
なんとなくこちら側にいるけれど、いつでも一歩踏み出したところに死がある。本当は誰でもそうですが、彼らはそれをはっきりと自覚しながら生きています。
少し他の方のレビューを読んでみたりしました。最後は希望を感じる終わり方…ととらえた方が多いようですが、私は主人公のハオフォンは命を絶ったという見方をしています。
ナナとシャオは生きて新たな一歩を踏み出すところが分かりやすく描かれていますが、ハオフォンだけは時計を置いて消えました。
割と皆さん、前向きにとらえておられますが、私は失踪、つまりどこかで亡くなったと思いました。
彼は始めから生きることへの執着が薄いのです。たまたまナナたちと出会ったから先延ばしにしただけのこと。
依存するほどスマホを見ていたのに、失くしたらそのまま探しもしない、新しいものも買わない。時計が壊れたら、それもそのままで最後には置いていく。
元の会社に戻ってまた前と同じように働くようには見えず、そうかといって、新しい人生を切り開いていく覇気があるようにも見えません。
時計の必要ないところへ行くのでしょう。
3人が集うことでいっとき癒やされても、救われることはなかったと私は思いました。
ナナとシャオ、ナナとハオフォン、それぞれの別れは、もうこの先二度と会わないだろうということがお互いに分かっていながら、口には出さないという表現です。
どうして付き合わないのに抱き合っているんだ、とか、なんでここで泣いているのか、とか言うご意見もありましょうが、私としては「よっしゃ分かった! 察した! 大丈夫!」という気持ちでした。
まぁこれも壮大な勘違いかもしれませんが、ハオフォン失踪(死亡)という解釈で通させていただこうと思います。
はっきりと語られていない以上、映画は見た人のもの、ということで、ご容赦いただきたいです。
「みんな元気にそれぞれの道を進みました」というラストでは、魅力半減ではないですか? 私だけかな〜。