『ゴンドラ』映画感想文・心の自由を描くノスタルジックな作品

セリフのない映画です。童話のようなかわいらしい世界観でキュンキュンでした。

このキーアートも素敵ね…

あらすじ

コーカサス山脈の西に位置するジョージアの小さな村で、古いゴンドラの乗務員として働き始めたイヴァと、もう1台のゴンドラの乗務員を務めるニノ。威張り屋の駅長には腹が立つことばかりだが、2人も負けてはいない。すれ違うゴンドラでイヴァとニノが交わし合う奇想天外なやりとりは、いつしか地上の住民たちも巻き込んでいき……。

2023年製作/85分/ドイツ・ジョージア合作
原題または英題:Gondola
配給:ムヴィオラ
劇場公開日:2024年11月1日

(『映画.com』より引用)

感想(ネタバレ含む)

こういう映画もあるんだなぁという新しい発見がありました。昔の無声映画ともちょっと違うし、不思議な感じでした。

イヴァとニノは同じゴンドラの乗務員ですが、それぞれ往復を担当しているので顔を合わせるのは一瞬だけ。

出会った時は控えめに会釈するだけだった二人が、お互いに淡い恋心のようなものを抱き、チェスのりとり、やがてゴンドラを飾り付けたりコスプレしたり。まるで競うようにアピールしていきます。

もっと相手を驚かせたい、楽しませたいという、彼女らなりの愛情表現が繰り広げられ、ほっこりしました。

同じ場所を行ったり来たりするだけのゴンドラを、船や飛行機に見立て、心はいつでも自由であるということを表現していました。

発想の奇想天外さにワクワクし、制限のある中でも自由でいられるという可能性を感じました。

女性同士の恋愛についても、自然にお互いが惹かれ合うよう描かれていて、二人が違ったタイプの可愛い方々、というのも見ていて楽しい部分でした。

それに嫉妬するいじわる駅長が出てきますが、彼はどこにも行けない、偏狭な人物として登場し、やがて破滅していきます。哀れで不幸な男性です。

これを見て思ったのは、柔軟性のある自由な心で、日々を楽しむことが大切ということでしょうか。

当たり前のことかもしれませんが、なかなか難しいですね。

また、言葉で伝えることはもちろん大切、けれど言葉以外の態度や表情でも多くのことを伝えられると感じました。

ノンバーバル(非言語)コミュニケーションと言いますが、何かを伝えるには表情も大切、そんなことを考えながら見ました。

ちょうどコロナ禍の時に製作された作品ということで、制約があってこその今作のようです。

まさにピンチはチャンスで素敵な作品ができあがったのだなと思いました。

少しクセがある作品ということで好き嫌いは分かれるでしょうし、中には退屈される方もいるかもしれません。

それも充分理解できます。

私としては「こんな映画もあっていいな」という印象でした。

このファイト・ヘルマー監督はどのような方?と思ったら、こんなロマンチックな映画を撮る割には、ちょっと強面風の男性で、意外でした。

この方は多分、すごく人生を肯定的にとらえているんじゃないかな、と、勝手に想像してしまいました。

他の作品もぜひ見てみたいと思います。