一人の男が大勢の夢の中に現れるという話、聞き覚えがあると思ったら、家族から「This Man」じゃないかと言われて、ああそういうの昔あったな〜と思い出しました。
予告がすごく面白そうに作ってあったので、期待度が高かったのですが、ほぼ夢のシーンをつなぎ合わせただけだったようで、ちょっと期待外れだったかな。

「アリ・アスター製作」より監督の名前書いてあげてほしい
目次
大学教授のポール・マシューズは、ごく普通の生活を送っていた。ある日、何百万人もの夢の中にポールが一斉に現れたことから、彼は一躍有名人となる。メディアからも注目を集め、夢だった本の出版まで持ちかけられて有頂天のポールだったが、ある日を境に夢の中のポールがさまざまな悪事を働くようになり、現実世界のポールまで大炎上してしまう。自分自身は何もしていないのに人気絶頂を迎えたかと思えば、一転して嫌われ者になったポールだったが……。
2023年製作/102分/G/アメリカ
原題または英題:Dream Scenario
配給:クロックワークス
劇場公開日:2024年11月22日
強烈な承認欲求を描いた『シック・オブ・マイセルフ』の監督クリストファー・ボルグリということで、調子に乗った人が転落するところが似ていました。
「This Man」が話題になったのは15年も前のことで、日本でも都市伝説のようにテレビで紹介されました。結局マーケティングの専門家による創作であったというオチでした。
これが下敷きになっているようで、今更という感じはありました。
ただ、ニコラス・ケイジが演じる大学教授の小物感がなんともいえず哀れで、面白かったです。
地味な大学教授が、人々の夢に現れたことで一躍有名人となり、自分は何もしていないのに、出版だ、オバマだ、若い女の子だ…と調子に乗り始めます。
いかにもな感じではしゃぐのではなく、調子に乗り方も地味なところが大変よろしい。痛い目にあいそうな匂いがプンプンしました。
やがてポールの夢の中でのふるまいが乱暴なものに変わり、世間から嫌われ、絵に描いたように転落していきます。
彼が夢に現れる理由は説明されません。
集合的無意識の形がたまたまポールに酷似していただけなのかな?と私は想像しました。
平凡な存在なだけに、人々の不安や欲望、怒りの象徴になってしまった不運な男という感じ。
なんだかんだで結局、出版の夢は叶ったようですが、何かの付録みたいなショボい本で笑いました。落ちぶれ方も地味なんですよね。
どこか『ボーはおそれている』に近い感じがあり、アリ・アスターが製作に入っていてなるほどなと思いました。
あのホアキン・フェニックスほど、派手に転落して悲惨な目には遭わなかったものの、なぜか家族も失い、切なく悲しいラスト。
妻がどうして去っていったのかいまひとつよくわからなかったのと、「ノリオ」のくだりが必要だったのかどうかがわかりませんでしたが、とにかくニコラス・ケイジが良かったので、『シック・オブ・マイセルフ』よりも楽しく見ることができました。
次回作はもう少し違った展開を期待したいと思います。