The Beatlesというのは不思議なもので、どんな気分の時にもどこかの時期の曲が合うし、飽きないし、いつでも聴けます。他に好きなアーティストはたくさんいても、一生にアルバム一枚しか聴けないとすればホワイト・アルバムを選びたい、そう思わせるような存在です(二枚組だからズルイですが)。
1966年6月30日〜7月3日、日本武道館で昼夜公演含む計5回の公演が行われました。元々のプロモーションから日本公演実現へ向けての事前交渉、当日の騒動までを総勢50名の各界著名人の証言で綴ったドキュメンタリーです。
印象的だったのは、どの方もまるで昨日見てきたかのように、楽しそうに55年前のことを語る様子です。東芝で洋楽プロモーションの担当をされていた高嶋弘之さん(高嶋ちさ子さんのお父様)のお話がとても楽しく、今では完全にアウトであろうヤラセやサクラなども豪快に語られます。
それがなくても人気に火はついたと思いますが、あの手この手で売り出そうとしていた苦労が垣間見えます。確かにラブ・ミー・ドゥがデビュー曲って、少しピンとこないよね…と共感しました。
よく無事に開催できたものだと思うほど、今から考えると難しい話で、外貨が足りずにかき集めるなどという生々しい話もありました。1964年に東京オリンピックがあって、高度経済成長の時代ですから、日本に元気や勢いがあったのでしょうね。国自体が自信にみちていたのですね。
結果的にビートルズはこの2か月後を最後にライブツアーをやめてしまうので、日本はビートルズを呼んだ数少ないアジアの国のひとつとなれました。この後の公演先フィリピンでビートルズは散々な目に合い、ツアーへの不満がますますつのるのですから、奇跡的なタイミングだったといえます。
ビートルズの仕掛人、高嶋弘之さんが語る秘話「ミスタームーンライト」公開
個別のインタビューが上手に編集されて繋がれ、まるで座談会の中に自分が混ざっているような気分になりました。56年という時が経った今、こうして証言をまとめてくださり、価値のある資料となって残ることをとても嬉しく感じます。
ビートルズそのもののドキュメンタリーではないため、見る前に「どうなんだろう? 面白いかな?」と思う部分もありましたが、当時の熱狂、尽力された方々のご苦労、珍しいお話、驚くような証言など、貴重な裏話がたくさん聞けて満足でした。
個人的には、当時の湯川れい子さんの写真がすごく可愛かったのが注目ポイントでした。今でもお綺麗ですが、さっき年齢が87歳というのを知って、びっくりしています。ひぇー! 全然見えない!
やはり音楽に関わっている方は若々しいのかもしれません。私も新しい音楽の開拓やライブ参戦にいそしもうと、湯川さんを見て心に決めました。余談ですが。
この映画、若い方々が見てどのような感想をお持ちになるか全く分かりませんが、ビートルズに関係するものであれば、音楽の好きな方ならとりあえず必見、でしょうね。ぜひごらんください!