動画配信の映画も感想を載せていきます。本日鑑賞はエルトン・ジョンの半生を描いた映画『ロケットマン』。
「ボヘミアン・ラプソディ」のヒットから、アーティスト伝記ものが次々と制作され、ついつい見てしまいます。
ただ、ドラッグ、搾取、親子関係…とパターンがあり、誰がどの話なのか、分からなくなる時も。
今エルトンは75歳。断酒も30年に及び、苦しい時期を乗り越えて、お元気にされていることが、他と違うところです。
(あらすじ)
仲の悪い両親の間で、愛情をかけてもらえず、心を痛めながら育ったエルトン・ジョン。依存症のグループセラピーに参加しながら、過去がフラッシュバックする。
音楽的才能を見いだされ王立音楽院へ進学するが、両親は離婚し、父親は家を去っていく。
やがてロック・ミュージックに目覚めたエルトンは、作詞家バーニーと組んでヒット曲を作り始める。
同性愛者であること、両親との関係、恋人との関係などから、アルコールを始めとした、依存症を抱えることになり…。
楽曲の時系列など、事実と異なる部分も指摘されますが、さまざまな依存を克服し、自分の人生を取り戻していくストーリーとなってます。
ミュージカル仕立てや、幻想的なシーンを織り交ぜ、きれいにまとめられています。
中でも印象的だったのは、両親の不仲から、子ども時代に深く傷ついていたこと。
アルコール、コカイン、買い物、性依存など、多くの依存に苦しんだエルトン。
そのベースには幼少時代に満たされなかった、愛情への渇望があったのでしょう。
グループセラピー参加の場面。はじめは派手なステージ衣装で、苛立ちながら話していたエルトンですが、話が進むにつれ、装飾を投げ捨てていきました。
やがて私服になり、落ち着いた様子で自分を語るようになります。
仮面を脱いで、素の自分に戻り、次第にいやされていったことがよくわかる、いい演出だったと思います。
終盤になり、幼少期を演じた子役が再びあらわれます。自分の子ども時代と向き合うエルトン。その子をハグするシーンには涙が出ました。
心の問題が解消に向かい、希望の持てるラストになっていたのが、良かったです。
その後、エルトンの近況が気になり、Prime Videoの流れで、1時間ほどのインタビュー番組を見ました。
現在は、同性婚の夫との間に、代理母で授かった二人のお子さんがいて、彼らと一緒の時間を大切に、幸せに暮らしているようです。
写真を見ましたが、めちゃくちゃ可愛いお子さんたち。まだ10代前半だと思うので、成長を見守るためにも、長生きしなくてはいけませんね。
音楽ものの映画を見ていると、若くしてドラッグで亡くなる方が本当に多く、やりきれない思いがするのですが、この映画は「生きている限り、やり直せる」ことを示してくれました。
私がエルトン・ジョンを知ってからざっと40年!ぐらい経ちますが、彼について知っていたことは「ユア・ソング」「変わったメガネ」「同性愛者」「ダイアナ元妃と親交があった」くらいです。
天才ですから、苦労をしていないような気がしていて、このような苦しみがあったとは、意外でした。
私も断酒しているため、親近感がわいて、以前よりも大好きになりました。
親の愛情の大切さと、人生をやり直す大きな価値について、考えてみたい方におすすめです!